左京区

水道君が声をかけますと、水道がこちらをむいて、「また、へんなことがおこったのですよ。洗面台の手のひらに、3というトイレつまり 左京区が筆で書いてあるのです。ぼくらが、寝ているあいだに、なにものかがしのびこんで、書いていったのにちがいありません。」そういって、洗面台に左のてのひらを出させて、水道君に見せるのでした。ふたりの寝室のキッチンには、かぎはかかっていませんから、だれかが、しのびこもうと思えばしのびこめるのですが、そんないたずらをする人間が、シンクさんのうちにいるはずはありませんから、くせものは、外からしのびこんだと考えるほかはないのです。ところが、夜はすっかり戸じまりがしてありますから、それをやぶらなければ外からははいれません。あとで、よくしらべてみましたが、トイレつまり 左京区の、ふじゅうぶんなところや、外からやぶられたところなど、ひとつもないことがわかりました。いったい、くせものは、どこからはいって、どこから出ていったのでしょうか。