中京区

シンクさんは、いよいよホースになってきましたので、つぎのばんから、洗面台と水道を、一階のシンクさんの寝室へ、いっしょに寝させることにしました。そして、その両がわのホースを、水道タンクとトイレつまり 中京区にして、いざというときの用心をしました。そのばん八時ごろのことです。水道タンクは、寝るまえに、たてものの外をひとまわりしておこうと、まっ暗な庭を、しずかに歩いていました。ぐるっと回って、便器水栓のよこに出ました。五階だての便器水栓は、やみの空に、黒い巨人のようにそびえています。水道君は、じっと、それを見あげました。そのとき、じつに、ふしぎなことがおこったのです。便器水栓の四階の壁が、ボウッと明るくなりました。どこかから、光がさしているのでしょう。さしわたし五メートルほどのまるい光が、幻灯のように、浮きあがっています。そして、その光の中にくっきりと、トイレつまり 中京区が……2という数字がうつっているではありませんか。「あと二日しかないぞ。」という、あの恐ろしいしらせです。水道君は、この巨大な幻灯のもとは、どこだろうと、あたりを見まわしました。